力が今ひとつの君へ! 
逆転合格を果たすのは君だ!

                                          06年11月中旬(07年10月末更新)

入試の本番で力を出すためには、その本番の時に、自分の知識や思考力がすべて活性化され、あらゆる問題に即応できるようになっていなければならない。したがって、模擬試験の成績がよい者でも、本番でこのような状態を再現しない限り、落ちる危険性がある。逆に、模擬試験でよい成績が取れなかった者でも、本番のときこのような状態に持っていくことができれば、合格することができる。
したがって、成績のよい君は一瞬たりとも努力を怠ってはならない。力が今一つ足りないと自覚している君は、この一発逆転をねらうべきだ。ただし、それは運によって可能になるものではなく、そのための努力と合理的な勉強によってのみ可能となるものなのだ。

1 具体的な勉強方法

@ 今までやってきたことを徹底的に復習すること。

 理科・社会・算数・国語の知識・文法などについては、もうこれ以上新しいものに手を出すな。今まで勉強してきた事をくり返せ。幾度となくくり返し、瞬間的に対応できるようにしろ。試験本番で役に立つのは、徹底的に鍛え抜かれたシャープな知識だけだ。やり残しがあってもあえて無視しろ。ぼんやりした知識など頭をぼけさせるだけだ。逆に、知識が確実になってくると、今まで理解できなかったことも「こんなことか!」と氷解してしまう。だから、今まで得た知識を瞬間的に反応できるまで磨きこめ。

A 実践的な方法で勉強をしろ。
 
 今の時期には、「@問題→Aテキスト・解答解説→B理解した重要事項をメモ」という勉強方法が実践的だ。

 まず過去問・塾の問題集・模擬問題などを自分で解いてみる。そして、不確実なところや分からないところは、すぐに解答解説・テキストなどを参考にして、その場で理解する。このとき丁寧なノート作りなど必要ない。すばやくメモし、短時間の復習を23日繰り返すことにより、マスターしてしまう。

 なお、社会や理科は長文問題を教科書代わりに使うことができる場合が多いということに注意してほしい。

B 作業をしろ。

 線を引け。「 」で囲め。こうすることで文章がよりくっきりと見えてくる。

 字など汚くてもよい。また、メモ書きでもよい。とにかく単語でも・文でも・図でも書いて確認するのがいいばん理解が深まり、定着がよい。「書く」という作業は自分の思考過程を対象化し、客観化することだからだ。

記憶をするということは、目の前の知識を脳の鏡に映したり、写真に写したりすることではない。いったん自分の中に取り込み、言語化ないし記号化して、もう一度出すことだ。だから、いったん頭に入れもう一度書いて再現すると定着するのだ。

作業をすることには集中力を高め、かつ、持続させる作用もある。

作業をしまくることで、自分の中心を超高速で回転するコマのように目標に向かって集中させれば、不安や迷いなど振り飛ばすことができる。

作業が、粘り強さ・丁寧さ・慎重さを支え、迅速さを生む。作業を嫌がるのは怠け者の印だ。怠け者は勉強できるようにはならない。怠け者こそ作業をしろ。

C 一つ一つの勉強に長い時間をかけるな。その代わり、何度も繰り返せ。
  覚えては忘れ忘れては覚えるを、幾度も繰り返す。

 たとえば、算数のプリント20分、理科プリント15分…というように短い時間でやる。これから全科目繰り返すのに1か月かかるとしても、その後は1週間で1回繰り返すことができるようになる。その次には、さらに早くなる。本番直前には漫画でも読むように早く読めるようになる。このように頭の中が竜巻状態になってくればしめたものだ。知らない問題も、様々の情報を瞬間的に総合して、正解を出せる確立が高くなる。これが集中力のすばらしさである。

 なお、勉強は、漢字や計算練習などから初め、短時間に頭の回転を高高度の飛行状態に持っていくとよい。

 応用・発展といわれる難しい問題は、しばらく考えたら、答えが出なくてもほかの問題を考え、その後で、またそこへ立ち返ってしばらく考えるというようにする。そうしていると、自然に氷解することが多い。

但し、注意してほしいのは、難しい問題ができないのは、それ自体ができないというよりも、その前提となる基本的な問題を解く力が不十分であることが多いということだ。だからこそ、基本的な問題も含めて何度も何度も回転させて、理解を深めることをしなければならない。

暗記事項についても、例えば五つの事項を三つと二つに分けて覚えれば一瞬で覚えられる。そういう風にして小さな単位に分けて、たくさん覚えればよい。

要するに、ジーっと(実はボーっと)同じところばかり見てないで、どんどん回す勉強をしろということだ。お手玉のように勉強を回すのだ。

2 基本的な心構え

 成績のよくない者が、合格を果たすということは、「超大仕事」をするということだ。したがって、今までとは違う心構えで受験に望まなければならない。成績のよい者もうぬぼれてはならない。気持ちを引き締めてゼロからやり直すつもりで勉強しろ。

@ まず受験するのか、受験しないのか、自分自身に問え! 受験会場ではすべて自分の責任で決めるしかない。そういう意味では大人と同じ自己責任の原理があってはまる。だから、受験をまともに戦えるのは、自分ですべてを決める意志を持つ者だけだ。だから、まず自分の気持ちをはっきりしなければならない。惰性や成り行きで受験するな。

 受験するのなら、ただひたすら勉強しろ。余分なことをするな。遊びも休憩も食事もトイレもお風呂もすべて勉強のために組み立てよ。

A 自分で勉強しろ。まず、自分がやらなければならないことを判断する。そして、それを実行する。例えば、ただ塾の宿題をやっているだけというような形だけの勉強はしない。自分の身につける勉強をしなければならない。

人と同じことをやっているのでは、永遠に人との差は縮まらない。人と違う方法で努力するから人より伸びるのだ。例えば、時々急成長を遂げる新しい企業が生まれてくるが、このような企業は他の企業のまねなんかしていない。

B 浮き足立つな。心を落ち着けてひたすら勉強しろ。そのためにすべきこと二つ。

  一般的な受験情報などを人と話すな。無意味な興奮状態に陥り、集中力を低下させるだけだ。受験情報は自分に関係のある情報を自分のためにだけ使えばよい。他人とのおしゃべりの種ではない。特に本番直前になって、奇妙な興奮状態に陥り、無駄口をたたく者が出てくるが、要注意だ。

「書く」という作業を通して、自分を勉強に密着させろ。作業をすることで、心が勉強に密着し、落ち着いてくる。

C くじけたり、あきらめたり、投げ出したり絶対にするな。

  「もう伸びない」などという言葉を口にするな。伸びるか伸びないかは、一瞬一瞬の積み重ねをするかどうかにかかる。これからの3か月間で伸びないのなら、これまでの人生に含まれるすべての3か月間でも伸びなかったはずだし、これからの人生に含まれるすべての3か月間でも伸びないはずだ。そんなことは誰も信じないだろう。だから、つまらないこと(むしろ卑怯なこと)を言っているよりも、黙って、一瞬一瞬の積み重ねをしろ。今すべき勉強を一つ一つ積み重ねろ。

緊迫した状況が成長を促進することが多いということも忘れるべきではない。

成長はある臨界点を越えたときから急激に始まる。そこに到達するまでは努力を続けなければならない。その臨界点を越えるのは明日かもしれないし、1か月後かもしれない。問題は、その時が来ると信じて努力をするかどうかだ。もちろん、信じないのは個人の自由だ。しかし、それは合格を果たすという目的的行為を自分が選択したという前提と矛盾する。

  「今まで多くの人がだめだった。だから、自分もだめだ。」という人がいる。その考え方は全体主義だ。自分を全体に一体化しようとしている。基本的人権の思想は個人の尊厳を保障する。尊厳なる個人主義者は「…だが、自分は必ず…」と考える。そういうひとは、かなり不利な状況の中でも自分を見失わないで、黙々と自分の勉強を進めようとする、そういう個人の強さを身につけろ。

D 勉強の力は、ブロックや機械のような固定的なものではない。むしろ光や熱のような固定化の難しい存在であり、常にエネルギーを補給しなければ、輝きが失われてしまうものである。したがって、実力の劣化を防ぐためには絶えず勉強しなければならい。しかも、勉強できればできるほど、知識も多いので、よりたくさんの勉強をしなければならないことになる。したって、一瞬たりとも怠ってはならない。これでよいということはなく、最後の最後まで磨きをかけなければならない。勉強のできない者についてはいうまでもない。

この点で、130日を目標にすべきだ。130日時点でいったん頭の中が竜巻状態になるようにする。これは知識や思考が縦横無尽に頭の中を飛び交い、あらゆる問題に対応できる状態だ。30日にこのような状態に達したら、31日の午後(遅くとも3時以降)はあえて勉強をやめて休む。その上で、21日に本番に臨むと、自分でも信じられないほどの大きな力が発揮できる。

このようなことを可能にするためには、1月校の受験は1校でたくさんだ。また、受かっても、落ちても、あくまで他人事のようにクールに対応することが必要だ。あくまで第一志望校を目指さなければならない。行きもしない学校を、塾の合格者を増やすだけのために受けるなど、まったく無意味であるばかりか、時間と体力の無駄だ。

ただし、1月校を第一志望とする場合にはそれに合わせた組み立てが必要なことはいうまでもない。

いずれにせよ、受験は磨きこんだ勉強の技の勝負だ。その意味で最終仕上げのためのこれからの二ヶ月間こそ血沸き肉踊る季節である。温暖化で冬が生ぬるくなったのは残念だが、高村光太郎が「冬よ ぼくに来い」と呼びかけたように、「試験よ 私に僕に 来い」である。猛勉強をして、本番では思う存分戦い、勝利を得ようではないか。「試験は 僕の私の 餌食だ」

 1月には、ここで君たちと勉強できた思い出に、君たちが一生の友とできるような本をプレゼントします。
これからの2か月を精一杯勉強し、自分の人生の第一歩として是非よい結果を出してほしいと思います。 
                                                             


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