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歴史・時事問題特別授業   HPトップ
夏期講習の一部として行います。夏期講習→シーズン特訓


2015年度歴史時事問題特別授業概要 →歴史・時事問題特別授業のより詳しい観点
 6年生対象(但し、中・高・浪人生も2,3名受講可能)

前半8/8-12  午前8:30-11:30

後半
8/14-19 午前8:30-11:30

(全11コマ=11日)
 
@ 明治以降の近・現代史を最初の4日間(811日)

A現代史に関連して時事問題を中の4日間(12日・14日・1516日)

B江戸時代以前の歴史を最後の3日間(1719日)

@ 歴史→最初の4日間で、明治国家の発展と衰退消滅、戦後日本の発展と衰退(20147月まで・戦後世界史の流れも含む)を、対外関係と内部的な変化に分けつつ、相互に関連させて、解説する。後半の3日間で、縄文・弥生から江戸時代までの歴史を概観する。江戸時代以前については知識的には初級者向きかもしれない。しかし、歴史の変動とその根本原因を解き明かし、ばらばらになりがちな知識を大きく連関させる点では、近現代史も前近代史も同じである。まず、大プリントを使い、分かりやすく講義する。次に、学んだことはその場で覚えていただく。さらに、まとめ用小プリントを使い、その場で確認テストをする。時間があれば、全体のまとめとして、全歴史外観プリントもやりたい。

A 時事問題→2000年代後半、日本は、少子高齢化・バブル崩壊以降の経済の低迷・巨額の財政赤字・政治の混迷などの問題を抱えていた。そこへ、リーマンショックによる世界経済の落ち込みが襲い、ギリシア危機による世界経済の低迷にさらされることになった。一方、特に中国の外交的軍事的な攻勢を受けるようになった。さらに、このような内憂外患状況に追い打ちをかけるように、東日本大震災・福島原発事故が起こった。時事問題で取り上げる問題はすべてこの日本の危機的な状況と関連する問題である。

@巨額の財政赤字、少子高齢化と税と社会保障の一体改革、消費税率引き上げ問題を整理する。Aアベノミクスのポイントと問題点を整理する。B集団自衛権とは何か、それは憲法解釈によって認められるものなのか、さらに、憲法96条・9条などの改正の是非を巡る議論について、近代憲法の根本原理、および、憲法の歴史性という観点より、その対立軸を明らかにし、論点を整理する。国民投票法のポイントを整理する。C衆議院・参議院それぞれの選挙制度と一票の格差の問題を分かりやすく整理する。Dいろいろな自然エネルギー利用の可能性とそれぞれの長短の整理。シェールガス・メタン・ハイドレードの利用可能性。E中国やロシアの台頭と領土問題・軍事的な問題(普天間基地問題など)を整理する。FTTP交渉参加問題やFTAの問題などの問題を整理する。

*上記@Fは授業の順番ではありません。*授業用プリントはできる限り簡潔にかつ分かりやすくまとめます。*授業用プリントには多くの演習がふくまれますが、記述問題解答は即小論文の解答例となります。能率を図る必要上、集中的な超重労働を覚悟して授業に臨んでください。*おしゃべりは一切認めません。

シーズン特訓

 ご注意  歴史の授業は一続きのものであり、連続しておとりになることをお勧めします。



歴史・時事問題特別授業の観点



A 東日本大震災・福島大地原子力発電所事故の社会的・歴史的な意味は何か?
   
授業プリントです。(  )1〜20の答はつけてありません。

B 歴史のとらえ方(東日本大震災前にかいたもの)
   歴史を勉強する場合、暗記作業は欠かせません。しかし、歴史の勉強はただの暗記につきるわけではありません。
   もっと大切なことがあるのです。それは歴史の大きな流れと、その原因をとらえることです。
   これは、歴史の表面的な現象とその内部にひそむ原因との関係をとらえることです。
   この講座は、このような観点から歴史をとらえていきます。



 東日本大震災・福島大地原子力発電所事故の社会的・歴史的な意味は何か?

 

戦後歴史の決定的な転換点としての意味を見出すべきだ。

 

まず戦後歴史のあらましを振り返ってみよう。

 

太平洋戦争により日本経済は壊滅的な打撃を受けたが、1950年の(1     )戦争の特需を受けて、息を吹き返し、回復傾向をたどる。

1955年から1971年までは、経済は年に(2   )パーセントを超える成長をし、1968年にはGNP世界第二位となる。

(3     )ショック・(4     )ショックにより低成長の時代に入ったが、省エネ化・ハイテク化によって切り抜け、1980年代には車・家電製品などを中心に輸出が大きく伸び貿易(5     )・貿易(6     )の時代となる。

さらに1986年から1991年の(7     )経済の時代には、日本のお金は世界を制覇するかのような幻想さえ生まれたこともある。

しかし、バブル経済とその崩壊が生み出した巨額の(8     )債権は、日本を戦後最大の不況(=9    」不況)へとおとしいれることになった。不良債権問題が露呈してからの不況の期間を「失われた10年」ということもあった。

この時代、すでにソ連は崩壊し東欧の社会主義国は自由主義国に生まれ変わった。中国は改革開放路線を進め、社会主義体制のまま市場経済化を図り、経済成長を始めた。アメリカの一極優位構造の下で、世界では(10     )化が進行する。

やがて2000年代に入ると、不良債権の処理も進み、中国などの工業発展にけん引されたこともあって、日本経済は回復傾向をたどる。

2002年から2007年までは、戦後最長の好況と言われた。ただし、派遣労働化が進み、リストラも普通のこととなった。フリーターや年収が生活保護を受ける場合(200万円)よりも低い(11       )層が増え、(12     )商店街が多くの地方都市に表れた。これは銀行などを中心とする企業業績中心の好況であったのであり、庶民生活をむしろきつくするものであったともいえる。

しかし、その後、2008年に(13           )の崩壊・リーマンブラザーズ破綻による世界同時不況に見舞われ、日本経済も大きく落ち込む。

その痛手から回復しつつあった2011年の311日東日本大震災が襲い、東北地方沿岸部に壊滅的な被害をもたらし、福島第一原子力発電所事故を併発したのである。

 

2 このような戦後の歩み中で、日本には様々の問題が生じていた。

 

工業や経済の発展が重視される半面で、日本の農業は、個別農家が(14  )ヘクタールほどの農地で米を作りそれを政府が買い上げるという形で保護され、しかも後継者も不足し、兼業農家化が進んだ。このため、外国との競争に対応できるような、広大な農地で企業的に行う農業としては育成されなかった。このため、外国からの食糧輸入が増大することになり、(15     )率を大きく下げることとなった。

 

平均寿命が延びたために(16     )化が進み、高齢者の介護などに要する(17     )が莫大なものになってきた。

 

核家族化や女性の社会進出などに伴って(18     )化が進んでいる。このままだと生産に携わる人口は10年後には1割減り(100万円の売り上げが、90万円に落ちるのと同じ)、しかも、少ない人数でお年寄りの生活を支えなければならなくなる。

 

エネルギー政策としても、国は原子力発電所の建設を推進し、近年は、二酸化炭素の排出を減らすためにさらなる原子力の推進をさえ考えていた。

 

国の財政赤字は、1000兆円にも膨らみ、さらに社会保障費の増大がこれに拍車をかけ、事業仕分けなどしてみても焼け石に水程度の効果しかない状況である。

小泉政権は、市場経済主義を推し進め、労働者の派遣労働者化をおしすすめた。これは企業業績の回復には資するものがあったが、

収入のある人とない人の差が大きい(19     )社会を到来させた。

 

政治は、5年半余に及んだ小泉政権の後、安倍・麻生・福田と自民党政権がそれぞれ1年ほどですべてつぶれ、2009年民主党政権に変わった。民主党は、生活再建・少子化対策と政治主導を旗印に政権をとった。しかし、小ども手当などは財政難から半額しか実現できない状況だった。事業仕分けや予算編成の仕方に新しさがあるように見えたが、官僚の使い方の未熟さや外交への対応能力の弱さがあり、鳩山首相が普天間基地移設問題の失敗から、1年の持たずに辞任した。その後を継いだ菅直人首相は民主党内の路線対立もあり、充分なリーダーシップを発揮できないまま人気も低迷するという状態になっていた。ここに東日本大震災・福島第一原発事故が起きたわけである。

二大政党化が進んだわけであるが、その長所の面よりも、お互いの足を引っ張り合うあらさがしがここ数年目立つように思われる。大局を忘れた政争に終始している面が否めないであろう。

 

国民は、民主主義の主体としてしっかり物事を考えているのか?という問題もある。2005年の小泉郵政選挙と2009年の民主党政権獲得の選挙とでは、国民の支持は大きく左と右に揺れている。これは(20       )票の動きが政治を決めた結果である。(19       )票は確かな知識や深い考えに基づいてとられる行動ではなく、その時の雰囲気のようなものに左右されやすい。たとえば、麻生総理は漢字が読めないというマスコミの先導した大騒ぎは、自分も漢字の読めない人々を動員して麻生総理に不利な評判を作り上げた。問題にしなければならないのは、政策とその実現能力であるはずなのに。これと同じことは多かれ少なかれ他の短命政権に対しても行われている。誰かを悪者にしたて上げリタイアさせるだけで、積極的建設的な方向は何も示されてはいない。これに国民は同調してきたのではないか。原発問題然りだ。なんとなく原発を容認してきて、今回の事故をきっかけににわかに原発反対に転じるというのでは単に流行に乗ったのと大差ない。しっかりと自分の態度・認識・知識・考え方などを反省しければならない。

 

@ 多くの人が「3K(キツイ・キタナイ・キケン)」という言葉で、肉体的な労働を軽べつするように、国民は快適で豊かな生活を求めてきた。
  フリーター・派遣労働・ワーキングプア・ニートなどが増加しているにも関わらずだ。国民のこの意識は果たして正しいのか。

A 都市計画・防災計画などは今までのものでよいのか?

B 国と地方との関係はこれでよいのか?

C 貿易などでも日本は、日本だけに閉ざされる国でよいのか?

3今回の、東日本大震災と福島原発事故はその被害の甚大さから言っても、単なるその被害の復旧の問題としてとらえるのではなく、

これまで積み重なってきた様々な問題を根本的に解決するための転換点としてとらえ直す必要があるであろう。

 

そして、これらの問題を解決するためには、次のような方向が必要であろう。

 
 @ 省エネルギー・循環型の社会

 A 自給自足型の社会

 B 経済発展よりも、環境も含めて人間の幸せを中心に考える社会

 C 地方重視し、国の権限を縮小する

 D 節約を美徳とする社会

 






B 歴史のとらえ方(東日本大震災前にかいたもの)
 

1 たとえば、奈良時代について考えてみましょう。奈良時代は、大化の改新に始まる律令政治(天皇中心の政治)の完成とともに始まります。

―青によし奈良の都は咲く花のにおうがごとく今盛りなり―

この歌に歌われているように奈良の都は、それまでにない繁栄を謳歌(おうか)していたのでしょう。しかし、その奈良時代が始まって間もなく、律令制を支えていた公地公民制は動揺し始めます。奈良時代の初めごろになると、人口が増えたために、口分田が足りなくなってきます。また、祖・庸・調などの税が重いため、口分田をすてて逃げ出す農民がでてきたりもします。当時の民衆の生活の苦しさは山上憶良の「貧窮問答歌」に歌われています。
  そこで、公地公民の制度を手直しして、新しく開墾した土地は、自分のものにしてよいということにしました。ところが、こうなると、有力な貴族や寺社は、逃亡農民などを使って、競うように新しい土地の開墾を進め、自分の土地を増やすようになりました。
 このことは、私有地私有民が増え始めたということを意味します。つまり、公地公民の反対の事態が起きてきたのです。それはまた、公地公民の上に成り立っていた天皇中心の政治がくずれてくることをも意味します。天皇中心の政治ができ上がるとすぐにこのようなことが起きてきたのです。そして、このような私有地・私有民の増加は、やがて荘園制を生み出していくのです。こうして、天皇の力は弱まり、多くの荘園を手に入れた藤原氏が摂関政治を始めることになるのです。このように、奈良時代の初めにおいて、すでにその水面下には、次の平安時代を作るものが生まれていたのです。 

このように歴史をダイナミックにとらえれば、大宝律令、平城京遷都、聖武天皇の仏教政治、三世一身法、墾田永年私財法、荘園の発達、平安京遷都、藤原氏の発展、武士の発生、などの知識もひとつの流れの中で理解し、覚えるべきものであることが分かってきます。


2 ところで、このような歴史のとらえ方は、歴史の現時点の問題の原因を深く掘り下げ、歴史の将来を展望しようとすることへとつながります。歴史の現時点の問題が歴史を動かすのであり、それらの問題を深く掘り下げれば、歴史の将来も見えてくるからです。

3 たとえば、十五年か二十年前の日本人は、高度経済成長は終わったとは言え、なお右肩上がりの成長という神話を、そしてバブル経済の中で永遠の繁栄を、信じていました。しかし、その後の日本は、10年余りの間、戦後最大の不況(平成大不況)に見舞われることになりました。なぜこんなことになったのでしょうか。ここに平成大不況の原因を歴史的に掘り下げて考えることの大切さがあります。それが日本の将来のあり方を展望することへもつながるのです。

4 たとえば、01年9月11日のテロ事件を機に、アメリカは「テロ撲滅」という旗印を掲げ、オサマ・ビン・ラディンの捕捉とアルカイダの壊滅、それらをかくまうタリバン政権の打倒のためにアフガンを空爆し、一定の勝利を得ました。日本はこのアメリカを支持する立場に立ち、テロ対策特別措置法の制定、自衛隊の艦船のインド洋への派遣などを行いました。これらの一連の動きはテレビで連日報道されていましたから、皆さんも良く知っていることと思います。しかし、なぜあのテロ事件が起きたのかについてはあまり考えてはいないのではないでしょうか。単にオサマ・ビン・ラディンという悪人がアルカイダというテロ組織を作り、アメリカにテロを仕掛けたという偶然的な事件と思っている人も多いと思います。テレビの報道の大半は戦況の報道に終始していましたから、無理もないといえます。テロ自体は絶対に許されないとしても、その温床は意外に根深く広範であるのです。ここに歴史的視点をもつことの大切さがあります。20世紀後半からグローバル化ということが進行していますが、とくに経済と政治のグローバル化の先導者であるアメリカの政策は、他の国々の文化を尊重するものであったのか、また、経済力の異なる他の国々に対して公正であったのか、という問題があります。この歴史の現在の問題を深く掘り下げれば、「テロ撲滅」ということもどのような方法をもってなされるべきか見えてくるように思われるのです。

5 もちろん、この講座はあくまで受験対策として行うものですから、歴史の将来への展望ということに主眼をおくものではありませ。しかし、皆さんに、そのようなものの見方が大切であるということは、伝えることができるでしょう。


6 歴史の現時点にたって考える、ということについてもう少しお話しましょう。
 生物科学とコンピューター技術の飛躍的な発達も、歴史の現時点の問題としてとらえることが必要です。

まず、生物科学は、クローン動物を作り出し、生物の遺伝子の組み換えを可能にしています。さらに、ヒトゲノムの解読は人間の遺伝子の操作可能性を開きます。このことは遺伝子に原因を持つ遺伝病の治療を可能にすると同時に、例えば、ヒットラーのような人間が自分の好みの人間のみを作り出す可能性をも開きます。

他方、コンピューターの発達は、現在地球規模の情報のやり取りを即時に可能にし、さまざまな情報をハード(本・CD・ビデオテープなど)から開放しつつあります。さらに、原子レベルの加工を可能にするナノ技術の発達により、コンピュ-ターは二、三十年後には今の百万倍もの処理能力を獲得するとされます。    

このようになってくると、例えば、人の遺伝情報をコンピューターの中で合成して、バーチャル人類を育てる可能性すらでてくるのではないでしょうか。これがロボット技術あるいは生物技術と結びつけば、人間を超える生物あるいは機械を作り出すことも可能になり、偶然性と曖昧性の要素を多く持つ生物としての人間はいらなくなってくる(あるいは滅びる・滅ぼされる)のではないでしょうか。

(根拠はありませんが、)いま歴史は、ちょうど無生物の世界であった地球に生物が生まれ出たのと同じような大転喚起、あるいは、かつて栄えていた恐竜がほろび、新たに哺乳類や鳥類の時代がやってきたのと同じような大転換期に入りつつあるのかもしれません。(いささか突飛でしょうか?)

7 私たちは、今、環境ホルモンや地球温暖化などの環境問題、農業問題、人口問題、エネルギーの問題、水の問題、さらに現在の人間が作り出した地球環境と深く関係するといわれる鳥インフルエンザなど新たなウイルス発生の問題などさまざまな問題に直面しています。また、戦争、テロ、核兵器、生物兵器などの問題も依然として解決の展望の得られない問題です。

繰り返しになりますが、これらの問題は、まさに歴史の現在の問題であるのです。私たちは歴史の現在を生きているのです。



 
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